ヨシのQ&A

菜食を始めたきっかけは?
ヨシは子供の頃から喘息やアトピーを患っていたので、健康面ではどちらかと言えば不遇な子供時代を過ごしていました。10代の後半には大きな病気(厚生省難病指定疾患のクローン病)を患って、そのときの合併症で視力も失いかけて、人生が早くもデッドエンドを迎えた様な状況でした。たまたま、クローン病治療で入院していた某大学病院に隣接している医学書専門書店で、医学博士 小倉重成先生(故人)の「自然治癒力を活かせ―難症治療の決め手」という本を手にして、書かれている内容を退院後にフォローした事が菜食を始める直接的なきっかけとなりました。

小倉先生は1日1食の玄米菜食と鍛錬(1日10キロのマラソンや縄跳び)でガンを始めとする難症の病を抱える多くの患者さんを治癒させた医師で、崖っぷちに立っていたヨシは、本を読み終わって、迷う事なく小倉先生の自然治癒療法を試してみようと決めました。主治医からは「成人病が20年早く来たと思ってください」と宣告されていたのですが、退院後に渡された大量の薬は飲まずに、小倉先生の本に書かれてある通りに1日1食の玄米菜食と、1日10キロのランニングを3ヶ月間続けました。そして2ヶ月が経過した頃から徐々に体調が改善して、3ヶ月が終わる頃には完全に健康を回復していました。こうして、病気の問屋を廃業して、薬や病院とも縁を切る事ができました。

小倉先生の治療法は、医師としての経験と多くの難症を抱えた患者さんと正面から向き合う事で得られた深い洞察と知識に裏打ちされた実践的な方法論なので、同じく玄米食養生を基本としている桜沢式のマクロビオティックとはいくぶん趣が異なっています。さらに、医療なのでスピリチュアル・ヒーリングなどとは全く違う立場です。残念ながら先生と直接お会いした事はありませんが、ヨシにとっては人生を大きく変えるきっかけを与えてくださった恩人として、今でも心から感謝、尊敬させていただいています。

健康を回復したヨシはその後の5年間、玄米菜食は「取り戻した健康を維持するために必要不可欠」と考えて、自分の食事は家族とは完全に別、食事は全て自分の納得の行く食材と調理法で作ると決めて(料理の習慣が身に付いた由来はこのへんにあります)、外食も完全に避けていました。食事は完全菜食、食材や調味料は全てオーガニック、黒砂糖や油も避けて、精製食品は完全否定、無農薬有機栽培の野菜以外は口にせず、ポストハーベストケミカルやフードラディエーションを嫌悪して、口に入れる食べ物は自分の生活圏と同じ気候帯で栽培されたものでなければならないと考えていました。

徹底的な食事療法と運動で健康を回復した特異な体験が心と体に深く刻まれていたので、健康を取り戻した後もなおガチガチの菜食を続けていた訳ですが、振り返って考えるとこれはいたしかたない事だったと、今ではおおらかに当時を回想しています。その後「食べる事を楽しむ」という事をゆっくりと思い出して、さらにその後の5年間で凝り固まった囚われを自ら解き放してゆきました。

30代になると、たまの外食などで魚介類や乳製品を食べるほどになっていました。けれども、動物性の食べ物への興味は完全に消えていたので、これはもう、体がお肉を食べ物として要求しない感覚になっていたようです。結局、肉は食べない、卵や乳製品、魚介類はたまに食べるという、ゆるいベジタリアンスタイルがその後、結婚を経て、仕事で移住したハワイで過ごした6年間が終わる2007年まで定着していました。

3年前、再び日本で暮らし始めた頃、やはり、ゆるいベジタリアンだった妻が卵、牛乳、魚介類をやめてみたいと言い出したので、ヨシも再び完全菜食の食生活に戻してみようと考えました。そして今に至っています。彼女は結婚前は普通にお肉も食べていたのですが、結婚後は彼女自身の生活スタイルとして、食と健康、そして動物の命の問題を考えて、だんだんと動物性の食事をする機会が少なくなって行きました。

今でも基本は玄米菜食ですが、食材の陰陽や調理法はそれほど玄米菜食のセオリーを意識せずに、かなり崩れたスタイルになっています。ヘルスフード・アドバイザーのジョイ・バウアーさんという方が「90/10で健康に食べる」という事を言っておられて、今はその考え方にヒントを得た食生活をしています。基本の90%は健康的な食事、そして10%は楽しみのために食べる、つまり、始めから10%の緩み、楽しみを設定しておいた方が楽に長く健康的な食生活が続けられるという考え方です。これが今のヨシのスタイルには一番あっている様です。なので、コンビニで売っている植物性のスナック菓子や、ピザなどの乳製品由来の食品もごくたまに食べたりしています。

フード関係の仕事の経験は?
ジャズ喫茶のバーテンダーをやっていた事はありますが、調理の仕事に就いた経験はありません。本業はマックで雑誌組版や画像処理などをしています。ブログに載せている料理はヨシが全て実際に作っています。冷蔵庫の中の食材や前日の残り物を眺めて、レシピを決めているので、本や他の人のブログを参考にすることはほとんどありません。

使っているカメラは?
全ての写真は9年前のCanon Powershot G3という古いデジカメと自然光で撮っています。コンパクトなカメラなので、いつも冷蔵庫の上に載せておいて、料理を作ってすぐに撮れるので愛用しています。画素数は400万画素なので最近の一眼レフカメラの解像感には及びませんがRAWファイルで保存ができて、ホワイトバランスの後調整ができるので、ブログ用としては十分だと思っています。

趣味は?
長い間音楽が最も大切な趣味でした。けれども、今では以前ほど生活に音楽が必要だと感じられなくなってしまいました。10代の前半からロックやジャズのLPレコードを2,000枚以上集めたのですが、数年前にそのほとんどを処分してしまいました。以前は曲を作ったり、楽器演奏(ドラムス)もしていましたが、今ではそうした機会も無くなってしまい、すこし寂しさを感じています。最近、トリビュート・バンドのブログ を始めました。日本にはクラシック・ロックの優れたトリビュート・バンドが数多く活動している事を最近知って驚きました。

山歩きや街歩きも趣味の楽しみです。ハワイでは週末、妻と2人でオアフ島のあちこちのトレイルを歩きました。ヨシはハワイの海よりも山が好きでした。6年間のハワイでの生活では島の素晴らしい自然を大満喫させてもらいました。ワイキキに近い市民農園を借りて無農薬野菜の栽培もしていたので、野菜作りの楽しさを知る事もできました。今は時々、高尾山にも登りに行きます。駅から6号路で山頂まで登って、稲荷山コースで下る順路が好きです。昨年の夏は陣馬山から高尾山口駅まで6時間ぐらいで歩き通しました。その日は気温が35度を超えていたのですが、夏の尾根歩きを存分に楽しみました。

食事療法を考えておられる方へ
ネットから集めた情報を頼りに自己流で治療目的の食事療法を始めるのはあまりお勧めできません。色々な立場の人や、色々な方法論がごちゃごちゃに混ざり合っているのがネットの世界なので、ざっくりとした比較をするには良いと思いますが、選択を誤ると無意味に振り回されたり、間違った食養生法を選択して、逆の結果となりうる場合も考えられます。難症の病であればなおさらクリティカルな判断が必要になると思われますので、始めに確かな治療実績があって、きちんと証(しょう)を取る漢方医やカウンセラーなどに相談する事をお勧めします。ヨシが載せているレシピにも冬の献立として陰性の食材や調理法がたくさん出てきますが、これらのレシピは食事療法を目的としたものでは無い事をご留意ください。 また、ヨシのレシピはマクロビオティックをフォローしてる訳ではありません。

最後に
菜食を始めた理由については、実は今まで友人にもあまり詳しく話した事がありませんでした。病気の話や、ひとりでガチガチに凝り固まったっていた時期の話はあまり楽しい話ではないので、なんとなく避けていたのかも知れません。今回、そのような事を書こうと思ったのは、いろいろな理由で健康に強い関心を持っておられる方が、ヨシの経験を何かのヒントにして頂ける可能性があるかもしれないと考えて、思い切って書く事にしました。

キッチン・ダイアリーでは「楽しく、簡単に、健康的なご飯をいただく」をコンセプトに記事をポストしていますので、これからもよろしくお願いします。

最後まで読んで頂いて、ありがとうございました。